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運送業界の課題「長時間労働」のリスクとは
長時間労働に伴う健康リスクが課題である運送業界。労働時間の上限を破った労働は大きな事故や過労死、労働災害を引き起こすため危険です。ここでは長時間労働のリスクについて詳しく解説します。
労働者の健康にかかわるリスク
労働災害
長時間労働を行うと労働災害を引き起こすリスクが高まります。長時間の運転はドライバーの心身にとって大きな負担であり、集中力と体力を保つことは困難です。そのような状態で運転を行うことは高いリスクを伴います。とりわけ運送業のドライバーは長距離輸送中であることが多いため、輸送中に労働災害が生じることが多いでしょう。最悪の場合死亡事故になり、企業は金銭的補償を求められます。刑事責任が問われる可能もゼロではありません。業務上過失致死傷罪などで訴訟されるのを防ぐためにも、労働災害に注意することが大切です。
過労死
過労死も長時間労働により生じる弊害です。運送業や輸送業において過労死は多く、労災認定を受けると企業側に対し遺族へ金銭的補償を行う義務が課されます。企業が政府労災保険に加入している場合、一日当たり1,000円まで支給金を受けることが可能ですが、遺族に訴訟された場合は数千万~数億円まで保証金額が膨大する可能性があります。
そこで、厚生労働省は過労死を防ぐべく、「改善基準」に加え「脳・心臓疾患の労災認定」にて「過労死ライン」を設定。企業は上記の基準値を考慮してドライバーの管理を行うのが重要です。なお、過労死が起きやすいのは「残業時間が1か月で100時間を超えた場合」か「残業時間が80時間を2カ月続けて超えた場合」です。長距離移動を行うドライバーだと、過労死のラインを正確に守るのが難しいかもしれませんが、移動中に休憩を挟むなど工夫して、できる限り労働者が健康に働けるよう配慮しましょう。
会社にかかわるリスク
残業代の未払い
昨今、運送業界では労働者の権利に対する意識に注目が集まっており、時間外労働や残業代の未払いが問題になっています。大幅に労働時間上限を超えた労働を強いる企業は「ブラック企業」と呼ばれ、労働基準法などに違反している場合は政府から行政責任を問われます。長期間労働時間が常態化していると、そのような環境を正すのは難しく、法的トラブルに巻き込まれかねません。そのような事態にならないためにも、日ごろから勤怠管理を適切な状態に保つことが大切です。
長時間労働で残業代請求の裁判を起こした事例1
運送業者で働いているトラックドライバーのAさんは、休憩時間を取らずに長時間労働をしていました。しかし、その分の残業代は、すでに支払っている給料に含まれていると会社から言われ、それ以上支払うことはできないと言われました。退職する決意をしたAさんは、残業代を請求できないか法律事務所に相談。
弁護士によると、Aさんが運転していたトラックにデジタルタコグラフが搭載されていたため、それを確認して稼働時間を割り出せるとのことでした。配送ルートがAさんの手元にあったこともあり、Aさんの労働時時間を証明すること自体は難しくありませんでした。
ただし、給与明細が詳細な項目に分けて支払われていたので、残業代支払いの基準について就業規則などの資料をする必要がありました。結果的に、就業規則などの資料を開示することに成功し、最大で約700万円の残業代を請求できることが判明。書面で会社に知らせましたが、交渉決裂し、裁判へもつれ込みました。
裁判の結果、裁判所から提案された500万円で和解。Aさんが弁護士に依頼するまで会社側は残業代を支払う意思を見せていなかったので、Aさんにとって嬉しい結果となりました。
長時間労働で残業代請求の裁判を起こした事例2
労働時間分の残業代が支払われていないにも関わらず、労働時間を証明できず困っていた方の事例です。相談者はトラックの運転業務以外にも配車などの雑務を行っており、「リーダー」として管理監督までこなしていました。残業代が支払われていないことを会社に訴えるも、自分で労働時間を決められる立場だったと主張され、残業代を払う気はないと意見を聞いてもらえませんでした。
そこで、自ら労働時間を立証しようとしたのですが、運転日報などの資料を隠蔽され、手も足も出なくない状況に。弁護士は初め相談者に交渉で話を進める形を提案しましたが、変わらず運転日報が開示されなかったため速やかに訴訟しました。1年以上に渡り訴訟は続きましたが、裁判内で和解することに成功。会社側は一銭も払わない姿勢を終始貫きましたが、最終的には解決金を支払うことになりました。
労働者が長時間労働を希望した場合は?
企業側が労働時間を強いるのではなく、自労働者が長時間労働を申し込んでくる場合があります。そのような場合、希望通り働かせて大丈夫なのか不安になりますが、一定程度の長時間労働であれば、残業代をしっかりと支払うという前提のもと許して構いません。ただし、いくら労働者からの希望であったとしても、度を越えた労働時間の希望は拒否しましょう。過重労働は重大事故につながる原因になるので注意が必要です。
また、上限の判断基準は「改善基準告示」や、厚生労働省が発表している「脳・心臓疾患の労災認定」を参考にするのがおすすめです。過労死ラインに配慮した上限が分かるので、一度目を通してみてください。
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