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運送業界の働き方改善「ホワイト物流推進運動」とは?

私たちの暮らしを支える物流は、「経済の血液」とも呼ばれています。重要なインフラである物流が目詰まりを起こしてしまえば、日常生活にも大きな支障をきたします。そこで、運送作業の効率化・デジタル化を進め、現場で働く人の負荷を軽減する取り組み「ホワイト物流推進運動」が始まりました。

ホワイト物流推進運動の概要

業務改善パッケージとしての「ホワイト物流推進運動」

物流業界が抱える問題点は長時間労働やドライバー人材不足など、長年の商慣習や産業構造にも複雑に絡んでいます。そのため「ホワイト物流推進運動」には、さまざまな業務改善の施策が盛り込まれており、包括的な問題解決を目指しています。

ホワイト物流推進運動の目的

ブラックな職場からホワイトな職場への転換を図る

これまで物流業界といえば長時間労働が当たり前のブラックな職場環境でした。そのため、トラック運転手への就職が敬遠され、物流機能の安定的な発展が危ぶまれてきました。そこで官民挙げて「ホワイト物流推進運動」が提唱され、働きやすい職場環境を実現する取り組みが行われています。

運送業界の問題点

敬遠されるトラックドライバー

ネットショップの普及や少量多品目化する積み荷のために、宅配や輸送回数は増えています。しかし重い荷物を手で運ぶという仕事内容、長くなる待機時間や、過酷な割に安い賃金といった条件から敬遠されており、トラックドライバーの数は年々減少しています。

ホワイト物流推進運動のメリット・デメリット

企業にとってハードルが高すぎるとの指摘も

運送業者にとっては労働環境が改善され、生産性が上がるというメリットが期待できます。ところが、そのトレードオフとして、物流コストが上がる可能性が指摘されています。競合他社がブラック企業のままだと、コスト面で負けてしまう恐れがあるため、社会全体で「ホワイト物流推進運動」の意義を理解し、推進に取り組む必要があります。

ホワイト物流推進運動の取り組み内容

物流の効率化に向けての取り組みである「ホワイト物流推進運動」に賛同している企業は、1,472社(令和4年9月30日)にのぼります。このリストには運送会社も荷主会社も含まれています。各社は独自の判断で、協力できる分野を考えることが求められています。

負担軽減

ドライバーが運転業務に集中できる取り組みを!

「ホワイト物流推進運動」の大きな目的は、トラックドライバーの負担を軽減することです。長時間労働の原因である荷待ち時間の削減や、手積み荷役作業などの重労働は、機械化や作業量の分散化などで対応することが望まれます。

生産性向上

物流業界の生産性向上のために

物流業界で働く人々の労働時間を減らし、ブラックな職場環境から脱却するためには物流の生産性向上が必要です。具体的な方策としては、物流会社と荷主会社との相互による改善提案や、パレットやフォークリフト等の活用などが挙げられます。

作業効率化

納品先企業の入荷作業効率化

納品トラックが時間通りに到着しても、荷卸しの現場が混んでいるため、順番待ちに数時間かかってしまうことがあります。このようなムダをなくすために、受付予約システムを導入したり、荷主と納品先企業との間で業務見直し協議をしたり、といった行動が求められます。

ホワイト物流推進運動の取り組み事例

ドライバーひとりひとりの作業をもっと効率的に!

トラックは物流業界のメインの担い手ですが、トラックドライバーの労働時間は他産業と比較して2割も長いと言われています。トラックドライバーの長時間労働の原因の一つである積荷作業について、改善策をご紹介します。

【物流改善】

フィルム梱包機:パレット梱包作業の効率化を実現

パレットの荷物がこぼれ落ちないためのフィルム梱包機です。人力でラッピングするより3倍以上も引き延ばして梱包するため、作業員の負担が軽減されるとともに、フィルムのコストが削減できます。

容器の変更:積み荷に応じた物流容器を選択

運送会社が運ぶ商品は機械・化学品・液体・食品などさまざまです。それぞれの積み荷を保護しつつ、安価にお客様のもとに届けるには、積み荷の特徴に応じた物流容器を採用しましょう。

パレット・フォークリフト:パレット化はドライバー負担軽減のカギ

荷受けの際にトラックドライバーが手積みでの作業を手伝うことがあります。ところが手積みだと時間がかかるうえ、ドライバーが運転前に疲弊してしまいます。そこで荷物はできるだけパレットに乗せてフォークリフトで積み込むよう、ホワイト物流推進運動では推奨しています。

【拘束時間削減】

集荷と輸送ドライバーの担当者を分ける:ドライバーのリソースとタスクの平準化

ひとりのドライバーが複数の集荷場所で荷物を積み込み、長距離を走るケースを考えましょう。もしも作業を分担し、集荷を別のドライバーに分業すれば、一人当たりの拘束時間は削減されます。このようなタスクシェアリングを行うことで、法令を遵守した運行管理が実現できます。

作業スペースの見直し:荷待ち時間を削減

作業スペースを増やすことで作業効率を上げるために、保管スペースを約100坪削減しました。それによって、品揃えや荷捌きスペースとして転用することができるようになり、作業が効率よく行えるようになります。結果としてトラックの荷待ちや荷役時間を削減することができます。

システムの導入:予約受付システムの使用で手待ち・荷役時間を削減

予約受付システムやの導入により、これまではトラックの到着順に受け付けていた荷物を、着床時間を予約することで到着後すぐに荷下ろしができるようになりました。

ドライバーの拘束時間が短縮しただけでなく、予約運行計画の精度が高まり帰り荷など業務組合せの自由度が上がりました。

また一貫パレチゼーションによって、パレットの規格を統一し、発荷主から着荷主まで同一のパレットを使用することで積み替えがなくなり、時間短縮だけでなくメーカー側の商品事故リスクも低減しました。

入出荷を事前に連絡:発荷側の手待ち時間削減

発荷主から、入手出荷情報を事前に提供してもらうことで、夜間のピッキング作業と、朝からの積み込み作業が可能となり、従来より早い積み込み作業が可能になりました。これによって、発荷側の手待ち時間がほぼゼロとなり、拘束時間の削減にも繋がります。

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